2019年1月1日火曜日

一切なりゆき

樹木希林さんが遺した言葉を集めた表題の新書を読みました。
去年9月に亡くなった樹木希林さんが、週刊誌など活字メディア
に話してきた数々の言葉を集大成し新書として出版されました。
「わが母の記」「あん」「海街diary」「万引き家族」「日日是好日」
など、ここ数年の映画で演じた老人の姿に感動してきただけに
特別な感慨をもって読みました。
編集部による前書き、「はじめに」には次のように書かれています。
「樹木希林さんが遺した数多くの言葉は、語り口が平明で、いつも
ユーモアが添えられているが、じつはとても深い。そして何よりも
ポジティブだ。彼女の語ることが説得力をもって私たちに迫るのは、
浮いたような借り物が一つもないからで、それぞれの言葉が樹木
さんの生き方そのものであったからではないか。本人は意識しなく
とも、警句や名言の山が築かれている。」、と・・・
確かに、樹木希林さんの、感じ方、考え方、話し方には、達観した
悟りの境地を感じます。タイトルの「一切なりゆき」は、生前、色紙
に書いていた言葉、「私の役者魂はね 一切なりゆき」から選んだ
ということです。噛むほどに心に沁みる樹木さんの言葉を玩味して
ほしいと、編集者は新書の「はじめに」を結んでいます。
平成最後の年頭にあたり、樹木希林さんのを役者魂を偲びつつ、
「一切なりゆき」を身上とした生き方と「奥の深い話し方」の極意を
改めて噛みしめたいと思います。
1月の鞍田朝夫「話し方教室」は、6日と20日の日曜日に開きます。
いずれも、午前10時から富山県民会館の608号室で開講します。
テーマは、6日「エピソードで話す」、20日が「5W1Hで話す」です。
関心のある方のご参加をお待ちしています。見学を大歓迎します。
事前に、☎076-431-3248かEメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年12月1日土曜日

思考の極意

NHKのラジオ番組「深夜便」で、英文学者でエッセイストの
外山滋比古さんの話を聞きました。思いや考えを巡らす時
のヒントになる話がたくさんありました。
1983年に刊行された外山さんの著書「思考の整理学」は、
自ら考え行動することの大切さを説いたエッセイで、今も
大学生や若い社会人必読の書として人気のロングセラー
です。最近では、高校野球の根尾昂選手が愛読していた
ということで再び注目が集まっているといいます。
番組では、11月3日に95歳になった外山さんに、「100歳
人生はこう歩く」と題して、元気の秘密や思考を深めるのに
心掛けるべき秘訣などについてインタビューしていました。
外山さん曰く「余り後ろ向きなことは考えない。朝寝がいい。
レム睡眠は頭の中の余計な情報を掃除してくれる。忘れる
ことはよくないと言われるが、とんでもない、よく忘れれば
よく学ぶことができる。運動は、手足だけではなく、頭、目、
耳、口など動くところを全部動かすことが一番大切なこと。
とりわけ、口を動かすこと、言葉を使うことは健康にいい。
”三人寄れば文殊の知恵”と言うが、三人が寄って初めて
話が回転する。ほんとうは三人では足りなくて、もうひとり、
しかも、隣ではなく離れたところにいる仕事の違う人たちが
最低四人、気心が知れていて、めいめい違ったことをして
いる人たちが集まっておしゃべりをすると頭の刺激になる。
そうすることで新しいものが生まれてくる・・・。」
言葉による情操教育を永年提唱してきた研究者ならではの
思考の極意として心に残りました。
12月の鞍田朝夫「話し方教室」は、2日と16日に開きます。
午前10時から富山県民会館608号室で開講します。学習
テーマは、2日が「絵を描くように話す」、16日が「突然指名
されて話す」です。関心のある方のご参加をお待ちします。
見学を受け付けます。事前に☎076-431-3248か、Eメール
kurata2347@gmail.comにご連絡頂ければ幸いです。

2018年11月1日木曜日

日日是好日

映画「日日是好日」を観ました。女優の樹木希林さんの遺作と
なった作品です。母親の勧めでお茶を習い始めた女子大生が、
茶道の奥深さに触れ、次第に成長して行く姿を描いた物語です。
”タダモノではない”と噂の茶道教室の先生が樹木希林さんです。
凛とした存在感でした。人生を達観した人が醸し出す風格を感じ
ました。”タダモノではない”女優だったのだ、ということを再認識
しました。
ところで、この映画では、茶道の稽古風景を通じて人生の道理が
希林さん演ずる茶道の先生の口からさりげなく語られています。
例えば「お茶はまずカタチなのよ。初めにカタチを作っておいて、
あとから心が入るものなのね。頭で考えないで自分の手を信じ
なさい」、という言葉です。
至言だと思います。”まずカタチから入る”という茶道の奥義jは、
おしなべて、世の中の学問、芸能、スポーツ、数多の習い事に
共通する、学ぶ者が心得るべき根本なのでしょう。
先年亡くなった歌舞伎の十八代目中村勘三郎さんがよく言って
いたそうです。「型を作ってから型を破れ。それが型破りだ」、と。
何もないとろから壊しても型破りではないのだ、というわけです。
”カタチから入る”とは、しっかりと基本を押さえるということです。
長い時間をかけてコツコツ努力できる人にとって精進の日々が
すなわち「日日是好日」なのでしょう。因みに、「日日是好日」は
禅の言葉。映画では「にちにちこれこうじつ」と言っていましたが、
「にちにちこれこうにち」とも読むようです。しかし、日常の会話
では「ひびこれこうじつ」が一般的で、他に「ひびこれこうにち」、
「ひびこれよきひ」という読み方もあるようです。
一方、解釈も多様です。毎日がよい日になるよに努めるべきだ、
日々についてその善し悪しを考え一喜一憂するのではなく常に
今この時が大切だ、あるがままを良しとして受け入れるべきだ、
など様々に解釈されています。映画では、茶道教室の先生が
しみじみ、「私、最近思うんですよ。毎年同じことができるという
ことは幸せなんだなぁって」・・・。同感です。
さて、鞍田朝夫「話し方教室」も、例年通り、第1と第3日曜日に
富山県民会館で開講しています。11月は、4日と18日です。
いずれも午前10時から富山県民会館の608号室で開きます。
関心のある方の見学を受け付けます。ご希望の方は、事前に
☎076-431-3248か、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年10月1日月曜日

毎日1分の音読

10月です。爽やかな季節です。この「爽やか」という言葉は、
俳句では秋の季語です。爽やかな声、爽やかな笑顔などと
季節を意識せず使っていますが、「爽やか」は秋の為にある
言葉です。スポーツの秋、行楽の秋、読書の秋・・・確かに、
秋は何をするにも気持のいい季節です。
ところで先日、現役医師で医療ジャーナリストの森田豊さん
がテレビの番組で、声を出して本を読むことの様々な効果を
力説していました。曰く、「大きな声で音読することによって、
セロトニンというホルモンの分泌が多くなり精神が安定する。
脳の前頭葉を刺激するのでストレス解消になる。喉の筋肉を
活性化するので誤嚥性肺炎の予防に繋がる。文豪達の名作
にふれ情操を豊かにすることができる。」ということだそうで、
「毎日1分の音読」をつよく勧めていました。とても納得・共感
できる話でした。
鞍田朝夫「話し方教室」でも、新聞のコラムを音読しています。
表現語彙を豊かにし滑舌をよくすることは一朝一夕にはでき
ません。「毎日1分の音読」は話し方上達にも有効なことです。
そして、それを習慣づけることが大切です。
さて、今年度の鞍田朝夫「話し方教室」は、例年通りの要領で
富山県民会館608号室で開講中です。以下、今年度下期の
学習テーマとスケジュールをご案内します。
10月 7日・・・いい切り出しと結びで話す
10月21日・・・話しかけるように話す
11月 4日・・・間を取って話す
11月18日・・・わかりやすい表現で話す
12月 2日・・・絵を描くように話す
12月16日・・・突然指名されて話す
 1月 8日・・・エピソードで話す
 1月20日・・・5W1Hで話す
 2月 3日・・・話し読み練習法で話す
 2月17日・・・ネタを集めて話す
 3月 3日・・・起承転結で話す
 3月17日・・・正しい敬語で話す
関心のある方のご参加をお待ちしています。見学を歓迎します。
☎076-431-3248、又は、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年9月1日土曜日

私と高校野球

9月です。暑い夏でした。そして、例年になく高校野球の熱戦に
感動した夏でした。地元の高岡商業が初めて甲子園で3回戦に
進みあの大阪桐蔭に善戦したこと、平成最後の怪物と騒がれた
金足農業の吉田輝星投手が期待通り渾身の力投を見せたこと、
大阪桐蔭が数々の重圧を乗り越え史上初の2回目の春夏連覇
という快挙を達成したことなど、興奮の毎日でした。
熱闘の数々に触発され駆け出しの頃を思い出してしましました。
若い頃に一時期、局アナとして甲子園での夏の高校野球中継に
携わったことがあります。昭和48年夏の第55回記念大会では
毎試合、炎天下のアルプススタンドから三塁側のチームの応援
リポートを担当しました。作新学院の江川卓投手が怪物として
世間の注目を集めた年です。翌49年には、初めて実況を担当
しました。高岡商業と函館有斗高校との試合でした。高校野球の
実況デビューがたまたま故郷富山の高校の試合になったことに
不思議な巡り合わせを感じながら本番に臨んだことを懐かしく
想い出します。
その後、昭和51年に富山に帰ってから15年間、甲子園出場を
めざす地元の高校球児の熱い夏をラジオテレビを通じて県民に
伝えてきました。県予選を実況中継する地方大会の期間は私の
いわば正月でした。私の”一年の計”は高校野球の実況中継に
ありました。スポーツを実況する機会が多くない地方にあっては、
一年に一度それまでの日頃のアナウンスを振り返り新たな一年
を踏み出すための点検と挑戦をする大切な機会でした。
私のアナウンサーとしての原点は、野球の実況描写にあります。
正確に、具体的に、短いセンテンスで・・・という、話し方の基本の
多くを高校野球の実況を通じて学んだように思います。
さて、9月の鞍田朝夫「話し方教室」は、2日と16日の日曜日に
開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山県民会館
608号室で開きます。テーマは、2日が「話材を整理して話す」
16日が「初めてのスピーチで話す」です。見学を受け付けます。
☎076-431-3248、又は、eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年8月1日水曜日

炎天下の中?!

8月です。厳しい残暑が予想されます。それにしても、7月は
酷暑の日々でした。気象庁が”災害”だと注意を促すほどの
空前の猛暑でした。そんな中、テレビのニュースや中継などで
「炎天下の中」という表現を何度か耳にしました。
とても気になりました。「炎天下の中」は、二重(重複)表現だと
思います。厳密に言えば間違いだと考えます。
炎天下とは、炎天の下(もと)、つまり、焼きつけるように強い
太陽の日差しの下、という意味です。炎天下の「下」に「~中」
という意味が含まれています。したがって、「炎天下の中」は
二重表現です。「炎天下の下(もと)」は言うに及ばず、です。
二重表現とは、同じ意味の語を重複して使う表現のことです。
典型例が「馬から落馬する」です。他にも、「違和感を感じる」
「尽力を尽くす」「後で後悔する」「挙式を挙げる」「返事を返す」
「被害を受ける」「最後の切り札」「ダントツの1位」「必ず必要」
「元旦の朝」「今朝の朝刊」「一番最初・最後」などがあります。
これらの中には、日頃何気なく使っている二重表現があります。
好ましくないが慣用的に容認されている二重表現もあります。
ですから、日常細かく気にすることではないのかもしれません。
しかし、公共性の高い放送現場では、日頃使う言葉について
つねに神経質であって貰いたいと願うものです。
件の「炎天下の中」について、ニュースで使った当該放送局に
局としての見解を尋ねるべく電話してみましたが、担当部署に
繋いで貰えず考えを聞けませんでした。ニュースの現場では、
記者、デスク、アナウンサーの少なくとも3人が事前に内容や
言葉を吟味し精査しているはずです。その上で「炎天下の中」
という二重表現があえて使われていたのだとしたら、これまで
相応の議論と一定のコンセンサスがあったのでしょう。でも・・・、
「炎天下の中?!」、今のところ、私は”とても気になる派”です。
さて、8月の鞍田朝夫「話し方教室」は、5日と19日の日曜日に
開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山県民会館
608号室で開きます。テーマは、5日が「簡潔に話す」、19日が
「具体例で話す」です。入会を考える方の見学を受け付けます。
☎076-431-3248、又は、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年7月1日日曜日

新聞のコラムに学ぶ

新聞のコラムは、いろんな意味で話し方の参考にすべき身近な
教材だと思います。主題の視点、話題の構成、短いセンテンス、
等々、言いたいことをわかりやすく表現する典型として話し方の
ヒントになると感じています。
コラムとは、新聞や雑誌の短い囲み記事のことです。もともとは
古代ローマ建築の石の円柱を意味する言葉だそうです。横書き
の英字新聞では縦型の余白ができることがあります。その余白
が円柱の形に似ていることから、その縦長のスペースに書く短い
記事をコラムと呼ぶようになったということです。因みに、日本の
新聞は縦書きなので、コラムは、横型の余白を利用した横長の
囲み記事になっているのです。
新聞のコラムは、限られた文字数で、要点を絞り、読者が内容を
すばやく理解できるように推敲に推敲を重ねて書かれています。
また、新聞の記事には個人的な考えが書かれることは基本的に
ありませんが、コラムには執筆者の個人的な考えや意見が書か
れています。それだけに、記事に比べて綿密なリサーチに基づく
客観的な視点が重要なのでしょう。社説を担当する論説委員の
知人が、社説よりコラムの方がずっと難しいと話していたことを
思い出します。
そんな、ベテランの新聞記者が熟考して書いているコラムから
話し方のヒントを学ぶべく、鞍田朝夫「話し方教室」では、毎回、
地元紙のコラムを全員で音読しています。コラムをしっかり読み、
その内容を執筆者の表現に倣って自分流に話してみることで、
話し方のいい訓練になると考えます。とりわけ、短いセンテンス
による話題の展開は大いに参考にしたらいいと思います。
ところで、7月の鞍田朝夫「話し方教室」は、きょう1日と15日の
日曜日に開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山
県民会館608号室で開きます。1日は「短いセンテンスで話す」
15日が「三段階話法で話す」が学習テーマです。教室の見学を
受付けます。事前に☎076-431-3248にご連絡頂ければ
幸いです。