2014年12月1日月曜日

「医療機関(病院)を受診する?」

エボラ出血熱のニュースで、「医療機関”を”受診する」
「病院”を”受診する」という言い方を頻繁に聞きました。
この言い方には、かねてから違和感を覚えてきました。
そもそも、「受診する」とは「診察を受ける」ことですから、
「医療機関(病院)を受診する」は、「医療機関(病院)を
診察を受ける」になってしまいます。ちょっと変ですよね。
この場合の助詞は、”を”ではなく”で”を使うのが適切な
のではないでしょうか。私には、「医療機関で受診する」
「病院で受診する」がしっくりきます。
尤も、日頃「病院を受診する」とはめったに言いません。
「病院で診てもらう」「病院で診察してもらう」が普通です。
だから、やっぱり、助詞は”を”ではなく”で”ですよね!?
助詞の「を」と「で」・・・この場合、どちらを使っても文意が
間違って伝わるわけではないので、「おかしい」と、殊更
問題にすることではないのでしょう。が、私はとても気に
なります。そして、気にすることは大切なことだとも考えて
います。
作家で日本文学者の林望さんが、「日本語へそまがり
講義」の巻末で、以下のように書いています。
「ことば」というものは掴みどころのない存在なのだから、
俗論的に「ラ抜きはけしからん」とか「今の若いものは
言葉遣いがなっとらんな」とか言うのはよしにして、もっと
各人が自分自身の「ことば」に自覚的になって、注意深く
言葉を発したい、ということである。
言葉への自覚、こそは、人が大人としてはずかしくない
物言いをし文章を書くための、王道であり捷径である、
とそういうことだけは、とくに声を大にして言っておきたい
のである。(原文のまま引用)
言葉への自覚・・・自分の発する言葉について、つねに
自覚し注意深く在るために、日頃から、見聞する「言葉」
には絶えず神経質でいたいものです。
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