2018年12月1日土曜日

思考の極意

NHKのラジオ番組「深夜便」で、英文学者でエッセイストの
外山滋比古さんの話を聞きました。思いや考えを巡らす時
のヒントになる話がたくさんありました。
1983年に刊行された外山さんの著書「思考の整理学」は、
自ら考え行動することの大切さを説いたエッセイで、今も
大学生や若い社会人必読の書として人気のロングセラー
です。最近では、高校野球の根尾昂選手が愛読していた
ということで再び注目が集まっているといいます。
番組では、11月3日に95歳になった外山さんに、「100歳
人生はこう歩く」と題して、元気の秘密や思考を深めるのに
心掛けるべき秘訣などについてインタビューしていました。
外山さん曰く「余り後ろ向きなことは考えない。朝寝がいい。
レム睡眠は頭の中の余計な情報を掃除してくれる。忘れる
ことはよくないと言われるが、とんでもない、よく忘れれば
よく学ぶことができる。運動は、手足だけではなく、頭、目、
耳、口など動くところを全部動かすことが一番大切なこと。
とりわけ、口を動かすこと、言葉を使うことは健康にいい。
”三人寄れば文殊の知恵”と言うが、三人が寄って初めて
話が回転する。ほんとうは三人では足りなくて、もうひとり、
しかも、隣ではなく離れたところにいる仕事の違う人たちが
最低四人、気心が知れていて、めいめい違ったことをして
いる人たちが集まっておしゃべりをすると頭の刺激になる。
そうすることで新しいものが生まれてくる・・・。」
言葉による情操教育を永年提唱してきた研究者ならではの
思考の極意として心に残りました。
12月の鞍田朝夫「話し方教室」は、2日と16日に開きます。
午前10時から富山県民会館608号室で開講します。学習
テーマは、2日が「絵を描くように話す」、16日が「突然指名
されて話す」です。関心のある方のご参加をお待ちします。
見学を受け付けます。事前に☎076-431-3248か、Eメール
kurata2347@gmail.comにご連絡頂ければ幸いです。

2018年11月1日木曜日

日日是好日

映画「日日是好日」を観ました。女優の樹木希林さんの遺作と
なった作品です。母親の勧めでお茶を習い始めた女子大生が、
茶道の奥深さに触れ、次第に成長して行く姿を描いた物語です。
”タダモノではない”と噂の茶道教室の先生が樹木希林さんです。
凛とした存在感でした。人生を達観した人が醸し出す風格を感じ
ました。”タダモノではない”女優だったのだ、ということを再認識
しました。
ところで、この映画では、茶道の稽古風景を通じて人生の道理が
希林さん演ずる茶道の先生の口からさりげなく語られています。
例えば「お茶はまずカタチなのよ。初めにカタチを作っておいて、
あとから心が入るものなのね。頭で考えないで自分の手を信じ
なさい」、という言葉です。
至言だと思います。”まずカタチから入る”という茶道の奥義jは、
おしなべて、世の中の学問、芸能、スポーツ、数多の習い事に
共通する、学ぶ者が心得るべき根本なのでしょう。
先年亡くなった歌舞伎の十八代目中村勘三郎さんがよく言って
いたそうです。「型を作ってから型を破れ。それが型破りだ」、と。
何もないとろから壊しても型破りではないのだ、というわけです。
”カタチから入る”とは、しっかりと基本を押さえるということです。
長い時間をかけてコツコツ努力できる人にとって精進の日々が
すなわち「日日是好日」なのでしょう。因みに、「日日是好日」は
禅の言葉。映画では「にちにちこれこうじつ」と言っていましたが、
「にちにちこれこうにち」とも読むようです。しかし、日常の会話
では「ひびこれこうじつ」が一般的で、他に「ひびこれこうにち」、
「ひびこれよきひ」という読み方もあるようです。
一方、解釈も多様です。毎日がよい日になるよに努めるべきだ、
日々についてその善し悪しを考え一喜一憂するのではなく常に
今この時が大切だ、あるがままを良しとして受け入れるべきだ、
など様々に解釈されています。映画では、茶道教室の先生が
しみじみ、「私、最近思うんですよ。毎年同じことができるという
ことは幸せなんだなぁって」・・・。同感です。
さて、鞍田朝夫「話し方教室」も、例年通り、第1と第3日曜日に
富山県民会館で開講しています。11月は、4日と18日です。
いずれも午前10時から富山県民会館の608号室で開きます。
関心のある方の見学を受け付けます。ご希望の方は、事前に
☎076-431-3248か、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年10月1日月曜日

毎日1分の音読

10月です。爽やかな季節です。この「爽やか」という言葉は、
俳句では秋の季語です。爽やかな声、爽やかな笑顔などと
季節を意識せず使っていますが、「爽やか」は秋の為にある
言葉です。スポーツの秋、行楽の秋、読書の秋・・・確かに、
秋は何をするにも気持のいい季節です。
ところで先日、現役医師で医療ジャーナリストの森田豊さん
がテレビの番組で、声を出して本を読むことの様々な効果を
力説していました。曰く、「大きな声で音読することによって、
セロトニンというホルモンの分泌が多くなり精神が安定する。
脳の前頭葉を刺激するのでストレス解消になる。喉の筋肉を
活性化するので誤嚥性肺炎の予防に繋がる。文豪達の名作
にふれ情操を豊かにすることができる。」ということだそうで、
「毎日1分の音読」をつよく勧めていました。とても納得・共感
できる話でした。
鞍田朝夫「話し方教室」でも、新聞のコラムを音読しています。
表現語彙を豊かにし滑舌をよくすることは一朝一夕にはでき
ません。「毎日1分の音読」は話し方上達にも有効なことです。
そして、それを習慣づけることが大切です。
さて、今年度の鞍田朝夫「話し方教室」は、例年通りの要領で
富山県民会館608号室で開講中です。以下、今年度下期の
学習テーマとスケジュールをご案内します。
10月 7日・・・いい切り出しと結びで話す
10月21日・・・話しかけるように話す
11月 4日・・・間を取って話す
11月18日・・・わかりやすい表現で話す
12月 2日・・・絵を描くように話す
12月16日・・・突然指名されて話す
 1月 8日・・・エピソードで話す
 1月20日・・・5W1Hで話す
 2月 3日・・・話し読み練習法で話す
 2月17日・・・ネタを集めて話す
 3月 3日・・・起承転結で話す
 3月17日・・・正しい敬語で話す
関心のある方のご参加をお待ちしています。見学を歓迎します。
☎076-431-3248、又は、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年9月1日土曜日

私と高校野球

9月です。暑い夏でした。そして、例年になく高校野球の熱戦に
感動した夏でした。地元の高岡商業が初めて甲子園で3回戦に
進みあの大阪桐蔭に善戦したこと、平成最後の怪物と騒がれた
金足農業の吉田輝星投手が期待通り渾身の力投を見せたこと、
大阪桐蔭が数々の重圧を乗り越え史上初の2回目の春夏連覇
という快挙を達成したことなど、興奮の毎日でした。
熱闘の数々に触発され駆け出しの頃を思い出してしましました。
若い頃に一時期、局アナとして甲子園での夏の高校野球中継に
携わったことがあります。昭和48年夏の第55回記念大会では
毎試合、炎天下のアルプススタンドから三塁側のチームの応援
リポートを担当しました。作新学院の江川卓投手が怪物として
世間の注目を集めた年です。翌49年には、初めて実況を担当
しました。高岡商業と函館有斗高校との試合でした。高校野球の
実況デビューがたまたま故郷富山の高校の試合になったことに
不思議な巡り合わせを感じながら本番に臨んだことを懐かしく
想い出します。
その後、昭和51年に富山に帰ってから15年間、甲子園出場を
めざす地元の高校球児の熱い夏をラジオテレビを通じて県民に
伝えてきました。県予選を実況中継する地方大会の期間は私の
いわば正月でした。私の”一年の計”は高校野球の実況中継に
ありました。スポーツを実況する機会が多くない地方にあっては、
一年に一度それまでの日頃のアナウンスを振り返り新たな一年
を踏み出すための点検と挑戦をする大切な機会でした。
私のアナウンサーとしての原点は、野球の実況描写にあります。
正確に、具体的に、短いセンテンスで・・・という、話し方の基本の
多くを高校野球の実況を通じて学んだように思います。
さて、9月の鞍田朝夫「話し方教室」は、2日と16日の日曜日に
開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山県民会館
608号室で開きます。テーマは、2日が「話材を整理して話す」
16日が「初めてのスピーチで話す」です。見学を受け付けます。
☎076-431-3248、又は、eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年8月1日水曜日

炎天下の中?!

8月です。厳しい残暑が予想されます。それにしても、7月は
酷暑の日々でした。気象庁が”災害”だと注意を促すほどの
空前の猛暑でした。そんな中、テレビのニュースや中継などで
「炎天下の中」という表現を何度か耳にしました。
とても気になりました。「炎天下の中」は、二重(重複)表現だと
思います。厳密に言えば間違いだと考えます。
炎天下とは、炎天の下(もと)、つまり、焼きつけるように強い
太陽の日差しの下、という意味です。炎天下の「下」に「~中」
という意味が含まれています。したがって、「炎天下の中」は
二重表現です。「炎天下の下(もと)」は言うに及ばず、です。
二重表現とは、同じ意味の語を重複して使う表現のことです。
典型例が「馬から落馬する」です。他にも、「違和感を感じる」
「尽力を尽くす」「後で後悔する」「挙式を挙げる」「返事を返す」
「被害を受ける」「最後の切り札」「ダントツの1位」「必ず必要」
「元旦の朝」「今朝の朝刊」「一番最初・最後」などがあります。
これらの中には、日頃何気なく使っている二重表現があります。
好ましくないが慣用的に容認されている二重表現もあります。
ですから、日常細かく気にすることではないのかもしれません。
しかし、公共性の高い放送現場では、日頃使う言葉について
つねに神経質であって貰いたいと願うものです。
件の「炎天下の中」について、ニュースで使った当該放送局に
局としての見解を尋ねるべく電話してみましたが、担当部署に
繋いで貰えず考えを聞けませんでした。ニュースの現場では、
記者、デスク、アナウンサーの少なくとも3人が事前に内容や
言葉を吟味し精査しているはずです。その上で「炎天下の中」
という二重表現があえて使われていたのだとしたら、これまで
相応の議論と一定のコンセンサスがあったのでしょう。でも・・・、
「炎天下の中?!」、今のところ、私は”とても気になる派”です。
さて、8月の鞍田朝夫「話し方教室」は、5日と19日の日曜日に
開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山県民会館
608号室で開きます。テーマは、5日が「簡潔に話す」、19日が
「具体例で話す」です。入会を考える方の見学を受け付けます。
☎076-431-3248、又は、Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。

2018年7月1日日曜日

新聞のコラムに学ぶ

新聞のコラムは、いろんな意味で話し方の参考にすべき身近な
教材だと思います。主題の視点、話題の構成、短いセンテンス、
等々、言いたいことをわかりやすく表現する典型として話し方の
ヒントになると感じています。
コラムとは、新聞や雑誌の短い囲み記事のことです。もともとは
古代ローマ建築の石の円柱を意味する言葉だそうです。横書き
の英字新聞では縦型の余白ができることがあります。その余白
が円柱の形に似ていることから、その縦長のスペースに書く短い
記事をコラムと呼ぶようになったということです。因みに、日本の
新聞は縦書きなので、コラムは、横型の余白を利用した横長の
囲み記事になっているのです。
新聞のコラムは、限られた文字数で、要点を絞り、読者が内容を
すばやく理解できるように推敲に推敲を重ねて書かれています。
また、新聞の記事には個人的な考えが書かれることは基本的に
ありませんが、コラムには執筆者の個人的な考えや意見が書か
れています。それだけに、記事に比べて綿密なリサーチに基づく
客観的な視点が重要なのでしょう。社説を担当する論説委員の
知人が、社説よりコラムの方がずっと難しいと話していたことを
思い出します。
そんな、ベテランの新聞記者が熟考して書いているコラムから
話し方のヒントを学ぶべく、鞍田朝夫「話し方教室」では、毎回、
地元紙のコラムを全員で音読しています。コラムをしっかり読み、
その内容を執筆者の表現に倣って自分流に話してみることで、
話し方のいい訓練になると考えます。とりわけ、短いセンテンス
による話題の展開は大いに参考にしたらいいと思います。
ところで、7月の鞍田朝夫「話し方教室」は、きょう1日と15日の
日曜日に開講します。いずれも、午前10時から12時まで富山
県民会館608号室で開きます。1日は「短いセンテンスで話す」
15日が「三段階話法で話す」が学習テーマです。教室の見学を
受付けます。事前に☎076-431-3248にご連絡頂ければ
幸いです。

2018年6月1日金曜日

備えと覚悟があれば・・・

日大アメフト部の選手による悪質な反則タックルの問題で、当該
選手と監督・コーチの記者会見を見て感じたことがあります。
事の真相や問題の深層はさておき、双方の言葉の力、話し方や
発言の説得力に雲泥の差があったことです。
あの差は一体何だったのでしょうか。偏に、記者会見への備えと
覚悟の有り無しが大きな違いだったのではなかったでしょうか。
片や、反則に至った顛末を具体的で詳細な文書で準備し、自ら
の非を心から詫びる強い覚悟で臨み、片や、後手を踏んだ形で
慌ただしく然したる備えもなく臨み、しかも、謝罪の覚悟が曖昧で、
ひたすら弁解に終始した会見だったように感じました。
ところで、備えと覚悟は人前で話すときにも求められる要諦です。
今月の学習テーマ「上がらないで話す」と「口癖を直して話す」も、
事前の備えと覚悟が重要なカギのように思います。
上がり症か?そうではないのか?といえば、大方の人が上がり症
です。小人数の人前や友人の前ならそれほど上がらずに話せる
のに、大勢の人を前にしてのスピーチや改まった場所での挨拶と
なると上がってしまうという人がほとんどです。なぜ上がるのか?
それは、十分な準備と覚悟が足りないからです。
一方、人は誰でも何らかの癖を持っているものです。特に、話し方
で気になるのは「えー」「あのー」などの口癖でしょう。少なければ
気になりませんし、かえって話に味わいが出てよいかもしれません。
程度の問題です。「えー」や「あのー」を連発してしまうのは、準備と
覚悟不足のせいです。ついつい何を話していいかわからなくなり、
口癖を連発することになるのです。
しっかり準備し、それなりの覚悟があれば、上がり症と口癖は必ず
克服できるはずです。
さて、6月の鞍田朝夫「話し方教室」は、3日と17日に開きます。
いずれも、午前10時から12時まで富山県民会館の608号室で
開講します。見学を受付けます。事前に☎076-431-3248にご連絡
いただければ幸いです。

2018年5月1日火曜日

「遺憾」と「謝罪」

先日、ラジオの情報番組で、ゲストのフリーライターが「ここ数カ月間、
政治家や官僚の言い訳ばかり聞いている気がする。絶対に謝っては
いけない人種なのか!? とにかく、はぐらかそうとする言葉ばかり
使っている」と、政治家や官僚の曖昧な言葉に苦言を呈していました。
不徳の致すところ、職責を果たすのが困難、記憶のかぎり、誤解を
招きかねない、等々、いずれの表現も、問題の核心をはぐらかそうと
する底意が見え隠れする典型だと指摘した上で、「遺憾」という言葉も
政治家や官僚が常套句として多用しており、このような曖昧な言葉に
馴れてはいけないのではないかと持論を展開していました。
「遺憾」とは、憾みを遺すという意味です。辞書には、思っているように
ならなくて心残りであること。残念なこと。または、そのさま。と、語釈
されています。また、用例の「遺憾の意を表する」には、自分の行動を
釈明し詫びる場合にも、相手の行動に対して非難の気持を表す場合
にも用いる。と注釈されています。
つまり、「遺憾」という言葉は、他人の行動に使うと非難になり、自分の
行動に使うと謝罪の意味になるのです。しかし、元々の字には「謝罪」
の意味が含まれていません。そこで実際には、「不本意」に近い意味で
使われることが多く、謝っているように見えて、実は謝っていない、言葉
なのです。謝罪したくない政治家や官僚にとっては、実に便利?な言葉
なのかもしれません。
テレビである元プロ野球選手が言っていました。「日本には、『謝れば
赦す』という文化があるのだから、森友問題も加計問題も、安倍さんが
早くにちゃんと謝っていれば、こんなにゴタゴタしなかったのに・・・」、と。
共感できる発言でした。確かに、いま国民の間に漂う「もやもや感」は、
きちんと謝罪すべき政治家や官僚が、適宜、適切な言葉で、ちゃんと
謝っていないせいなのだろうという気がします。
さて、5月の鞍田朝夫「話し方教室」は、6日と20日の日曜日に開講
します。いずれも、午前10時から富山県民会館608号室で開きます。
6日が「ひとつだけを話す」、20日が「3分間で話す」が学習テーマです。
関心のある方の見学を受付けます。☎076-431-3248にご連絡
いただければ幸いです。

2018年4月1日日曜日

平成30年度の要項とスケジュール

新年度です。鞍田朝夫「話し方教室」は、これまでと同様の要領で
毎月第1と第3日曜日の午前10時から12時まで富山県民会館の
608号室で開講します。
以下、新年度の学習テーマと開講スケジュールをご案内します。

 4月 1日・・・明るい声で話す
 4月15日・・・歯切れよく話す
 5月 6日・・・ひとつだけを話す
 5月20日・・・3分間で話す
 6月 3日・・・上がらないで話す
 6月17日・・・口癖を直して話す
 7月 1日・・・短いセンテンスで話す
 7月15日・・・三段階話法で話す
 8月 5日・・・簡潔に話す
 8月19日・・・具体例で話す
 9月 2日・・・話材を整理して話す
 9月16日・・・初めてのスピーチで話す
10月 7日・・・いい切り出しと結びで話す
10月21日・・・話しかけるように話す
11月 4日・・・間を取って話す
11月18日・・・わかりやすい表現で話す
12月 2日・・・絵を描くように話す
12月16日・・・突然指名されて話す
 1月 6日・・・エピソードで話す
 1月20日・・・5W1Hで話す
 2月 3日・・・話し読み練習法で話す
 2月17日・・・ネタを集めて話す
 3月 3日・・・起承転結で話す
 3月17日・・・正しい敬語で話す

鞍田朝夫「話し方教室」は、話し方を点検し鍛える「訓練の場」です。
関心のある方の受講をお待ちしています。事前の見学(無料)を歓迎
します。予め☎076-431-3248にご連絡いただければ幸いです。

2018年3月1日木曜日

感動の日々

平昌冬季五輪大会が幕を閉じました。日本人選手の活躍に感動の
日々でした。とりわけ、メダリスト達の栄光への道程が、それぞれに
挫折と試練と努力の賜物だったことに心打たれます。
右足首の痛みに耐え出来ることを尽くして五輪2連覇したフィギュア
スケートの羽生結弦選手、一度はどん底を経験し試行錯誤の末に
極めた最速の技で念願を叶えたスピードスケートの小平奈緒選手、
代表落ちという4年前の屈辱をバネに理想の滑りで天才の復活を
印象づけたスピードスケートの高木美帆選手、その高木美帆選手
を軸に前回ソチ大会で惨敗した宿敵に一糸乱れぬ美しい隊列で
雪辱した女子パシュートの選手達、これまで後塵を拝してきた妹に
スピードスケートの新種目マススタートで姉としての意地を見せた
高木菜那選手、他にも、ソチで流した悔しい涙を嬉しい涙に変えた
ジャンプの高梨沙羅選手、大ケガの恐怖を引きずったまま臨んだ
本番で最高の演技を見せて2大会連続の表彰台に輝いたスノー
ボード男子ハーフパイプの平野歩夢選手、大会前の骨折を秘して
挑んだ大舞台でトップを争う実力を再び示したノルディックスキー
複合の渡部暁斗選手、そして、それぞれが抱えた挫折感を笑顔に
変えて勝利の女神を呼び込んだ女子カーリングLS北見の選手ら、
いずれも、味わった悔しさを努力で乗り越えて手にした栄光だけに
格別の喜びだったことでしょう。笑顔が眩しく感動的でした。
平昌五輪直前に放送されたテレビ番組で、元女子スピードスケート
五輪代表選手の岡崎朋美さんが話していた言葉を思い出します。
「スケートは”夏泣いて冬笑う”という感じのトレーニングをするので、
苦しいことがあったら最後に笑うことが大事。人生も同じで、いい事
ばかりではないと思うんです。壁ができたときは、いっぱい泣いて、
いっぱい悩んで、いっぱい策を練って・・・飛び越えたときの喜びが
大きい。そこだと思う。人間って・・・」
冬季五輪に5大会連続出場し、長野五輪で女子スピードスケート
初の銅メダルに輝いた人の実感なのでしょう。とても示唆的です。
世界を魅了した”朋美スマイル”が蘇ってきます。
3月の鞍田朝夫「話し方教室」は、4日と18日の日曜日に開きます。
いずれも、午前10時から富山県民会館の608号室で開講します。
テーマは、4日が「3段階話法で話す」、18日が「アイドマで話す」
です。教室の見学を受付けます。事前に☎076-431-3248にご連絡
いただければ幸いです。

2018年2月1日木曜日

「日の名残り」を読んで

ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんの「日の名残り」を
読みました。全篇を通し、イギリスの名門家に永年仕えてきた執事
が旅をしながら自らの半生を回想する構成になっており、読み進む
につれ主人公の語り口や考え方に引き込まれていく不思議な魅力
を持った小説でした。
数年前にBS放送で映画の「日の名残り」は見ていました。執事と
いう仕事に生涯をかけてきた主人公が、職務に忠実なあまり断ち
切ってしまった女性との愛を確かめるべく、短い休暇を貰って車で
旅に出るのです。アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンの二人
が演ずる執事と女中頭が醸し出す大人の雰囲気、お互いを思い
ながらすれ違うそれぞれの愛情、そして、その深まりと、結末は?
・・・何んとも深イイ映画でした。
その原作者が日本人の両親を持つ日系イギリス人だとはまったく
意識せずに見ていました。昨年秋のノーベル文学賞のニュースで、
映画の記憶と原作者とが私の中でひとつに繋がり、特別な感慨と
親近感を覚えたのを思い出します。
ところで、小説「日の名残り」は、主人公の執事が過去の出来事を
回想する際の言い回しや話の展開に学ぶべきところがとても多く、
語彙や表現法を増やすのに好適な作品ではないかと感じました。
象徴的なシーンがありました。主人公の執事が、恋愛小説を読書
中に部屋へ入ってきた女中頭に「何を読んでいるのか」としつこく
問われ、すったもんだあった末、執事としての魅力的な言語能力、
つまり、発音や爽やかな弁舌を磨くために暇を見つけては巧みに
書かれた本を手に取り読んでいる、と述懐するのです。
知識を増やし教養を豊かにする近道は読書だというのが原作者の
ポリシーなのでしょう。確かに、話が上手な人は語彙が豊富です。
「彙」は「集まり」の意です。したがって、語彙が豊富とは、辞書的な
単語はもちろん、表現の仕方や話のテーマなどの集まり、選択肢を
多く持っていることをいうのだと考えます。
話材としての語彙を増やすには読書が一番だと言われています。
映画「日の名残り」をDVDで見直しました。小説の「日の名残り」も
主人公の豊かな語彙をメモしながらもう一度読み返してみようかな、
と思ったりしています。
2月の鞍田朝夫「話し方教室」は、4日と18日の日曜日に開きます。
いずれも、午前10時から富山県民会館の608号室で開講します。
学習テーマは、4日が「話材を整理して話す」18日が「簡潔に話す」
です。教室の見学を受付けます。事前に☎076-431-3248にご連絡
いただければ幸いです。

2018年1月1日月曜日

辞書を読む

辞書は引くもの、として利用してきましたが、今年は意識して
辞書を読むことに心掛けたいと思っています。
新聞記者の間では、「広辞苑は読むものだ」と、先輩記者が
新人記者に教えるのだといいます。広辞苑は、「国語辞典と
百科事典を一冊に」のコンセプトで1955年に初版が刊行。
その後、時代とともに広がった語彙を追加収録しながら改訂
が重ねられ、今月12日には10年ぶりに改訂された第7版が
発売されます。近年の社会や国際情勢を反映した1万語が
追加され約25万項目が収録されているということです。
辞書の改訂といえば、2013年に公開された映画「舟を編む」
を思い出します。「辞書は言葉という大海原を航海するための
舟である」というコンセプトのもと、辞書を編纂するスタッフの姿
を描いた三浦しをんさん原作の長編小説を映画化したもので、
主人公を演じた松田龍平の「まじめさん」ぶりがとても印象的
でした。今も蘇ります。
辞書には、多くの言葉が限られたスペースの中に簡潔で正確
に注釈されています。広辞苑の改訂版発売を機に、国語辞典
や漢和辞典、類語辞典、語源由来辞典、慣用句・ことわざ辞典
など身の回りの辞書を、単なる言葉を調べるツールとしてでは
なく、暇を見つけては眺めてみる読み物として触れたいと思って
います。
もっとも、辞書を読むことを趣味にしている人は多いようです。
「辞書を読む」プロジェクトという財団があり全国の書店を通じ
さまざまなフェアやイベントを開催しているようです。
辞書を読む・・・案外面白く、楽しいことのようです。使える言葉
が増えて、話し方の向上につながることでしょう。
1月の鞍田朝夫「話し方教室」は、7日と21日に開講します。
いずれも午前10時から富山県民会館の608号室で開きます。
学習テーマは、7日が「正しい敬語で話す」、21日が「起承転結
で話す」です。入会前の教室の見学を受付けます。歓迎します。
事前に☎076-431-3248にご連絡いただければ幸いです。