元プロ野球選手の宮本慎也さんの「意識力」を読みました。
日々「意識」することの大切さを、現役時代のさまざまな
経験から具体的に説いています。
宮本さんは、ヤクルトスワローズのリーダーとしてチームを
三度の日本一に導き、アテネ五輪などで日本代表チームの
キャプテンを務めた名選手でした。19年間のプロ野球人生
を支えた心の持ち方について「仕事としての野球に取り組む
中で心掛けていたのは、意識を高く持ち続けることだった。
練習でのちょっとした意識の違いがプレーを変える。もっと
言えば、日常生活の中での意識が、試合中のプレーに影響
することだってある。」、「凡打が続いたり、エラーをしたりと、
結果が出ない時に心掛けていたのは『できることをきちんと
やる』ということだった。」と書いています。
できることをきちんとやる・・・簡単にできそうで、意外とできて
いないことが多いものです。宮本さんは、基本に立ち返ること
が大切だと言っています。野球ならば、元気に声を出すこと、
守備では味方のカバーリングを欠かさないこと、攻守交代を
スピーディーに行うことなど、誰にでもできることを本気で取り
組むことが大切だというのです。
何事にも通じる心得です。話し方についても、声の出し方や
言葉の選び方、話の筋の立て方などで、日頃から意識して
押さえておくべき基本があります。そしてそれは、本気で取り
組めば、誰にでもできる上達の秘訣なのです。
宮本さんは、「意識と準備は似ている。」「自分でコントロール
できるのはプロセスだけである。結局どれだけ正しい準備が
できるか、どんな意識で取り組んだのか、それこそが大切な
のだ。」とも力説しています。ボールを捕る瞬間、打つ瞬間は
無意識にならざるを得ない。その無意識の瞬間を決めるのは、
それまでの意識の積み重ねで、意識を重ねることで無意識に
動けるようになる。意識ひとつで結果は変わる。考えて練習し、
体に覚え込ませていくことが大切だというのです。
話し方においても、意識を積み重ねて無意識にできるように
なる要素があるように思います。野球の場合のように、「体に
覚え込ませていく」感覚と訓練があるように思います。本番に
備えて、つねに基本を意識し、繰り返し練習することが、上達
への最善の道なのだろうと思います。
5月の鞍田朝夫「話し方教室」は、「簡潔に話す」「ひとつだけ
を話す」を学習テーマに、4日と18日の午前10時から富山県
教育文化会館504号室で開きます。