一芸に秀でた人には、何事においてもその本質を見抜く力と
それを探究する心が備わっているのでしょう。
先月1日、このブログで取り上げた「越中おわら節」の達人で
民謡名人の竹氏修さんからハガキを貰いました。ブログへの
投稿が事後報告になってしまったことに対し失礼をお詫びし、
掲載への承諾を請う私の往信に対する返信でした。
文面には、「私、話し方と云うと『しゃべり』方を連想しますが、
最近ようやく気がつきました。話し方⇒文章の作り方、組み
立て方なのですね。これからは少しでもその辺に意識を働か
せて行きたいと強く感じました」という件がありました。
まさに、諺の「一芸は道に通ずる」を彷彿させる一文でした。
何かひとつのことに奥義を極めると、他の事柄についても
道理と精神が理解できるようになるということなのでしょう。
「越中おわら節」の歌唱に求められる高音を鍛錬で作り上げ、
息継ぎを許さない難しい節回しを身につけ、それを維持する
為に「決して逃げないこと」を信条としてきた竹氏さんだから
こそ実感できた話し方の本質なのだろうと納得しました。
確かに、話すこととしゃべることとでは本質的な違いがあり
ます。人前で話す時には、少し改まった話し方になります。
そして、その際に大切なのは、声の出し方、言葉の選び方、
話の組み立て方です。正しい発声発音、適切な言葉選び、
心の伝わる話の組み立てが、きちんと行われていることが
肝要なのです。
民謡も然り、なのでしょう。声の出し方、節回し、感情表現の
仕方など、鍛え抜いた先にようやく見えてくる究極の本質が
あるのだろうと思います。その本質を極めた達人だからこそ
の慧眼と探究心に倣いたいものです。
鞍田朝夫「話し方教室」、6月は、7日と21日に開講します。
学習テーマは、7日が「3分間で話す」、21日が「短いセンテ
ンスで話す」です。午前10時から富山県民会館の608号室
で開きます。関心のある方のご参加をお待ちしています。
入会前の見学を歓迎します。事前に076-431-3248へ
お電話いただければ幸いです。