ガ行音の鼻濁音と濁音の使い分けが正しくできていない人が
ますます増えているように思います。気になります。
そもそも「鼻濁音」とは、「ガ、ギ、グ、ゲ、ゴ」というガ行の音を
「ンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ」という感じで、瞬間的に呼気を
鼻に抜いて発声する音です。例えば、「学校」のように言葉の
語頭にあるガ行音は、「ガ」と濁音で発音しますが、「小学校」
のように語中にある場合は、「ンガ」と鼻腔を使って柔らかく
ソフトに発音するのが「鼻濁音」です。アクセント辞典などには
半濁点(゜)をつけて「カ゜キ゜ク゜ケ゜コ゜」と表記されています。
ところで、中国、四国、九州地方などでは、そもそも鼻濁音を
発音する習慣がないようです。また最近、若い人達を中心に
東京など東日本でも鼻濁音を発音しなくなっているようです。
本来、富山県は濁音と鼻濁音を混同しない地域のはずなの
ですが、最近は鼻濁音で発音すべき言葉を濁音で発音する
人が増えているような気がします。当教室の受講生の中にも
鼻濁音を濁音で発音する人がいます。元アナウンサーとして
は少々気になるので発声発音練習の際に指摘し説明、指導
しています。
時代の傾向とは言え、日本語から柔らかく澄んだ美しい響き
の鼻濁音がやがて消えていくのではないかと考えると残念な
気がします。
一方では、鼻濁音を使いすぎる人が増えているのも現実です。
とりわけ、放送で活躍するアナウンサーやキャスターの中にも
濁音にすべきガ行音を鼻濁音で発音する人が結構いるのには
少々がっかりします。研修では、鼻濁音の習得を必須の技能と
して厳しい訓練を受けたと思われますが、男子学生(ダンシカ゜
クセイ)、高等学校(コウトウカ゜ッコウ)、途中下車(トチュウケ゜
シャ)、第15回(ダイジュウコ゜カイ)などなど、鼻濁音の誤用は
枚挙に暇がありません。「プロなんだから、ちゃんとしてよ!」と
叱咤激励したい気分です。
さて、12月の鞍田朝夫「話し方教室」は、第1日曜日の4日と
第3日曜日の18日に開きます。いずれも午前10時から12時
まで富山県民会館の608号室で開講します。学習テーマは、
4日が「話しかけるように話す」、18日が「絵を描くように話す」
です。入会前の見学を受け付けます。☎076-431-3248まで
ご連絡いただければ幸いです。