映画「日日是好日」を観ました。女優の樹木希林さんの遺作と
なった作品です。母親の勧めでお茶を習い始めた女子大生が、
茶道の奥深さに触れ、次第に成長して行く姿を描いた物語です。
”タダモノではない”と噂の茶道教室の先生が樹木希林さんです。
凛とした存在感でした。人生を達観した人が醸し出す風格を感じ
ました。”タダモノではない”女優だったのだ、ということを再認識
しました。
ところで、この映画では、茶道の稽古風景を通じて人生の道理が
希林さん演ずる茶道の先生の口からさりげなく語られています。
例えば「お茶はまずカタチなのよ。初めにカタチを作っておいて、
あとから心が入るものなのね。頭で考えないで自分の手を信じ
なさい」、という言葉です。
至言だと思います。”まずカタチから入る”という茶道の奥義jは、
おしなべて、世の中の学問、芸能、スポーツ、数多の習い事に
共通する、学ぶ者が心得るべき根本なのでしょう。
先年亡くなった歌舞伎の十八代目中村勘三郎さんがよく言って
いたそうです。「型を作ってから型を破れ。それが型破りだ」、と。
何もないとろから壊しても型破りではないのだ、というわけです。
”カタチから入る”とは、しっかりと基本を押さえるということです。
長い時間をかけてコツコツ努力できる人にとって精進の日々が
すなわち「日日是好日」なのでしょう。因みに、「日日是好日」は
禅の言葉。映画では「にちにちこれこうじつ」と言っていましたが、
「にちにちこれこうにち」とも読むようです。しかし、日常の会話
では「ひびこれこうじつ」が一般的で、他に「ひびこれこうにち」、
「ひびこれよきひ」という読み方もあるようです。
一方、解釈も多様です。毎日がよい日になるよに努めるべきだ、
日々についてその善し悪しを考え一喜一憂するのではなく常に
今この時が大切だ、あるがままを良しとして受け入れるべきだ、
など様々に解釈されています。映画では、茶道教室の先生が
しみじみ、「私、最近思うんですよ。毎年同じことができるという
ことは幸せなんだなぁって」・・・。同感です。
さて、鞍田朝夫「話し方教室」も、例年通り、第1と第3日曜日に
富山県民会館で開講しています。11月は、4日と18日です。
いずれも午前10時から富山県民会館の608号室で開きます。
関心のある方の見学を受け付けます。ご希望の方は、事前に
☎076-431-3248か、Eメールkurata2347@gmail.comへ
ご連絡いただければ幸いです。