2019年9月1日日曜日

言葉は声に出してこそ

知り合いの住職から、浄土真宗の門信徒用に発行されている
広報誌が送られてきました。巻頭の記事は、明治大学の齋藤
孝教授のインタビューでした。興味深く読みました。”言葉は声
に出してこそ生命となる”という主旨の話でした。
齋藤教授は、日本語や話し方に関する数々の著書で知られる
教育学者です。テレビのワイドショーなどでも、優しい語り口で
コメンテーターとして活躍中です。私も、大ベストセラーの「声に
出したい日本語」や「語彙力こそが教養である」などの著書から
話し方向上のヒントを多く学びました。
件のインタビューも示唆に富んだものでした。曰く「日本語という
のは、もともと文字がない期間が長かった言語で、たくさんの人
たちが音として伝えてきた。だから、声に出して読むと、言葉の
生命力がよみがえる。江戸時代の寺子屋などでは、素読という
形で声に出して学習することが当たり前だった。それが最近は、
黙読が中心になったので、言葉がいきいきし難いところがある」
と、暗誦するという文化の衰えが危惧されるというのです。
齋藤教授は、これからの時代の日本語について、SNSやインタ
ーネットを通じて新しい日本語がどんどん生まれており、日本語
自体は形を変えながら発展していくのだろうが、新しい語彙が
増えていく一方で、伝統的な語彙の伝承ができていない。古文
や漢文などは、先人の文化遺産であり、継承することが大切だ。
その為のポイントは音読であり、声に出すという教育や練習が
もっとあってもいいのではないかと、古典を声に出して読むこと
をつよく勧めていました。とりわけ『平家物語』などは、口承文学、
つまり、語りの文学でリズムが生命だ。現代語訳で意味を掴み、
原文を声に出して読むことで、生命感が内側から理解できると
いうのです。”言葉は声に出してこそ”という訳です。
さて、9月の鞍田朝夫「話し方教室」は、1日と15日に開きます。
いずれも午前10時から12時まで富山県民会館の608号室で
開きます。テーマは、1日が「初めてのスピーチで話す」、15日
が「いい切り出しと結びで話す」です。教室の見学を歓迎します。
予め☎076-431-3248 か Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。