2020年1月1日水曜日

新年、いざ打ち行かな

「令和」最初の正月が明けました。富山は寒い元旦です。
新しい元号は、万葉集に詠まれた「梅花の歌」の序文に
ちなんだもので、「初春の令月にして、気淑く風和ぐ」が
典拠とされています。気持よく風が和らぐ梅花の季節の
訪れが待たれます。
ところで、新元号の典拠となった万葉集は、大伴家持が
編纂したとされています。その家持は天平18(746)年に
越中国守として今の高岡市伏木に赴任し5年の在任中に
223首もの歌を詠みました。万葉集には473首の家持の
歌が集録されていますが、そのほぼ半分が越中国守時代
に詠まれていることになります。それほどに越中の自然や
四季の移ろいなどが家持の詩情をかきたてたのでしょう。
越中での家持は、生涯で最も精彩を放ち独創的な歌境を
開いたとされています。その家持が越中に赴任して最初に
開いた宴の席で詠んだ歌があります。
「馬並めていざ打ち行かな 渋谿の清き磯廻に寄する波みに」
”さぁ、皆で渋谿の海を見に行こうじゃないか”という訳です。
新天地で勇躍する家持の意気込みが偲ばれます。
渋谿の磯は雨晴海岸のことです。近くの海浜は少年時代に
海水浴をして遊んだ我が生れ故郷です。国庁跡の勝興寺、
家持の官舎跡の伏木測候所、二上山や田子の藤波神社、
等々の越中万葉の旧跡や故地は我らが郷土の誇りです。
それだけに「令和」最初の正月を特別な感慨で迎えました。
新任の国守として踏み出した家持が歌に込めた心意気を
想像しつつ、家持にあやかって「新年、いざ打ち行かな」と
自らを鼓舞しているところです。
さて、鞍田朝夫「話し方教室」は、今年も、毎月第1日曜日と
第3日曜日に開講する予定ですが、1月5日は休講します。
今年最初の教室は19日に開きます。学習テーマは「エピソ
ードで話す」です。関心のある方の見学を受け付けます。
☎076-431-3248 か Eメールkurata2347@gmail.com
ご連絡いただければ幸いです。