「令和」最初の正月が明けました。富山は寒い元旦です。
新しい元号は、万葉集に詠まれた「梅花の歌」の序文に
ちなんだもので、「初春の令月にして、気淑く風和ぐ」が
典拠とされています。気持よく風が和らぐ梅花の季節の
訪れが待たれます。
ところで、新元号の典拠となった万葉集は、大伴家持が
編纂したとされています。その家持は天平18(746)年に
越中国守として今の高岡市伏木に赴任し5年の在任中に
223首もの歌を詠みました。万葉集には473首の家持の
歌が集録されていますが、そのほぼ半分が越中国守時代
に詠まれていることになります。それほどに越中の自然や
四季の移ろいなどが家持の詩情をかきたてたのでしょう。
越中での家持は、生涯で最も精彩を放ち独創的な歌境を
開いたとされています。その家持が越中に赴任して最初に
開いた宴の席で詠んだ歌があります。
「馬並めていざ打ち行かな 渋谿の清き磯廻に寄する波みに」
”さぁ、皆で渋谿の海を見に行こうじゃないか”という訳です。
新天地で勇躍する家持の意気込みが偲ばれます。
渋谿の磯は雨晴海岸のことです。近くの海浜は少年時代に
海水浴をして遊んだ我が生れ故郷です。国庁跡の勝興寺、
家持の官舎跡の伏木測候所、二上山や田子の藤波神社、
等々の越中万葉の旧跡や故地は我らが郷土の誇りです。
それだけに「令和」最初の正月を特別な感慨で迎えました。
新任の国守として踏み出した家持が歌に込めた心意気を
想像しつつ、家持にあやかって「新年、いざ打ち行かな」と
自らを鼓舞しているところです。
さて、鞍田朝夫「話し方教室」は、今年も、毎月第1日曜日と
第3日曜日に開講する予定ですが、1月5日は休講します。
今年最初の教室は19日に開きます。学習テーマは「エピソ
ードで話す」です。関心のある方の見学を受け付けます。
☎076-431-3248 か Eメールkurata2347@gmail.comに
ご連絡いただければ幸いです。