2024年9月1日日曜日

息遣いを考える

9月です。今日から初秋の富山の風物詩「おわら風の盆」が行なわれます。 折しも、台風10号は紀伊半島付近にあり、今後北上して今夜には熱帯低気圧になる見込みだといいます。 二百十日の風封じと五穀豊穣を祈る伝統行事「おわら風の盆」が、大禍なく行われることを祈るばかりです。 ▼ところで、おわら風の盆で歌われる越中おわら節は、息遣いのとても難しい民謡です。 キーが高く息の長いことから日本の民謡の中でも屈指の難曲とされています。 かつて民謡大会の司会をしていたことがあります。越中おわらの一節一節を一息で歌い上げる出場者の息遣いに感心したものです。 ▼先日、NHKの「チコちゃんに叱られる!」で息遣いのことを取り上げていました。 私たちは、1時間に900回、1日に2万1600回も息(呼吸)をしているのだそうです。 そこで、問題は「なぜひっきりなしに息をするの?」ということでした。チコちゃんの答えは「酸素が毒だから」でした。 ▼私たちは、息を吸うことによって酸素を肺に送り込み、血管を通して全身の細胞に送っています。しかし、酸素は物を酸化させる毒でもあるというのです。 そもそも、太古の生物にとって酸素は猛毒だった。そこで、体内に溜めておけない。よって、絶えず息をするように進化した。という訳です。 ▼番組では、呼吸のメカニズムに詳しい医学博士の根来秀行さんが、問題を解説した後、独自に考案した呼吸法を紹介していました。 称して「4・4・8呼吸法」。緊張をほぐし身体能力を向上させるのに最適な呼吸法だというのです。 メジャーリーガーやオリンピック選手にも伝授し成果をあげているということでした。 ▼要領は、①楽な姿勢で座る、②息を吐き切る、③4秒かけて息を吸う、④4秒間息を止める、⑤8秒かけて息をゆっくり吐くこと、です。 そして、肝心なのは、息をゆっくり吸って長く吐くこと、鼻呼吸で腹式呼吸をすることだということでした。 ▼ここで言う腹式呼吸とは、息を吸った時にお腹を膨らませ、息を吐く時にお腹をへこませる呼吸法です。 越中おわら節の名手も、腹式呼吸を意識し、長く吐く息に自慢の声を乗せる息遣いを心掛けていることでしょう。 話し方においても腹式呼吸による息遣いが大切です。通る声で、明るく、歯切れよく話すには、「4・4・8呼吸法」が有効だと思いました。