エボラ出血熱のニュースで、「医療機関”を”受診する」
「病院”を”受診する」という言い方を頻繁に聞きました。
この言い方には、かねてから違和感を覚えてきました。
そもそも、「受診する」とは「診察を受ける」ことですから、
「医療機関(病院)を受診する」は、「医療機関(病院)を
診察を受ける」になってしまいます。ちょっと変ですよね。
この場合の助詞は、”を”ではなく”で”を使うのが適切な
のではないでしょうか。私には、「医療機関で受診する」
「病院で受診する」がしっくりきます。
尤も、日頃「病院を受診する」とはめったに言いません。
「病院で診てもらう」「病院で診察してもらう」が普通です。
だから、やっぱり、助詞は”を”ではなく”で”ですよね!?
助詞の「を」と「で」・・・この場合、どちらを使っても文意が
間違って伝わるわけではないので、「おかしい」と、殊更
問題にすることではないのでしょう。が、私はとても気に
なります。そして、気にすることは大切なことだとも考えて
います。
作家で日本文学者の林望さんが、「日本語へそまがり
講義」の巻末で、以下のように書いています。
「ことば」というものは掴みどころのない存在なのだから、
俗論的に「ラ抜きはけしからん」とか「今の若いものは
言葉遣いがなっとらんな」とか言うのはよしにして、もっと
各人が自分自身の「ことば」に自覚的になって、注意深く
言葉を発したい、ということである。
言葉への自覚、こそは、人が大人としてはずかしくない
物言いをし文章を書くための、王道であり捷径である、
とそういうことだけは、とくに声を大にして言っておきたい
のである。(原文のまま引用)
言葉への自覚・・・自分の発する言葉について、つねに
自覚し注意深く在るために、日頃から、見聞する「言葉」
には絶えず神経質でいたいものです。
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