2015年11月1日日曜日

サヨナラ(さようなら)・・・の深意

先日観た映画「マイ・インターン」の中に「サヨナラ」という
日本語の別れの挨拶が交わされるシーンがありました。
ニューヨークのファッション通販会社のシニア・インターン
を演ずるロバート・デ・ニーロが、アン・ハサウエイ演ずる
若い女性オーナーを会社の運転手として自宅まで送った
玄関先で、「サヨナラ」と優しく声をかけるのです。彼女は
悩みを押し隠した作り笑顔?で「サ・ヨ・ナ・ラ」と返します。
二人に、日本語の「サヨナラ」をあえて言わせた制作者の
意図は?想いは?・・・「サヨナラ」という言葉の持つ深意
について考えてしまいました。
サヨナラ(さようなら)の語源は、「左様なら」「左様ならば」
とされています。大辞林によれば「左様ならば(それでは)
これにてお別れいたしましょう」の意、別れる時の挨拶の
言葉とあります。さらに調べてみると、元々は、「そうなら
ねばならぬのなら」という諦めと覚悟がより強いかたちで
内包された言葉として使われていたようです。 
かつて、「さようなら」の意味に甚く感動した人がいました。
大西洋横断単独無着陸飛行のチャールズ・リンドバーグ
の妻アン・リンドバーグです。アンが、「さようなら」という
言葉について「なんという美しいあきらめの表現だろう」と
書いていると、随筆家・須賀敦子著「遠い朝の本たち」の
中で紹介されています。
アンにとって、「さようなら」と言葉を交わしながら、別れの
現実を不可避な諦めとしてそのまま受け入れようとする
日本人の潔さと覚悟は感動的だったのでしょう。
映画「マイ・インターン」の中で交された「サヨナラ」もまた、
感動的でした。言外に不可避な諦めを連想させ、時には
試練も甘受すべきことを諭し諭される二人の絆の深まり
を予感させて、とても心地いいシーンでした。
日々何気なく口にする言葉についても、その言葉の持つ
深意とその重みを理解しながら使いたいものです。
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