日本語の乱れの象徴のように以前から問題にされてきた
「ら抜き言葉」が市民権を得つつあるようです。文化庁が
1995年度から複数の「ら抜き言葉」について浸透度合い
を定期的に調べているということですが、先頃公表された
2015年度国語世論調査結果によると、「ら抜き言葉」の
うち「見れる」「出れる」という表現を普段使う人の割合が、
「見られる」「出られる」を使う人をわずかに上回り、初めて
多数派になったということです。
文化庁の担当者は「言葉の乱れが進んでいるのではなく、
話し言葉と書き言葉の使い分けが進んでいるのでは」と
話しているということです。
件の世論調査では、今のところ「食べられる」「来られる」
「考えられる」の3つは「ら抜き」を使う人が少なかったと
いうことですが、早晩「食べれる」「来れる」「考えれる」が
多数派になるかもしれません。
そもそも、「れる」「られる」には、尊敬、受身、可能、自発を
表す4つの用法があり、誤って「ら抜き」になるのは、この
4つのうち「可能」を表す場合です。可能表現では、動詞を
未然形にした時に母音の「イ」「エ」「オ」が含まれていたら、
未然形のあとに「られる」をつけるのが文法上の法則です。
つまり、「見る」「出る」の未然形の見(ミィ)出(デェ)には、
「イ」「エ」が含まれているので、「見られる」「出られる」が
正いのです。「見れる」「出れる」は文法上誤りなのです。
しかし、いちいち日本語の文法を考えながら話せるものでは
ありません。私は、アナウンサーの現役時代、可能表現は
押し並べて「☓☓することができる」と言ってきました。つまり、
「見ることができる」「出ることができる」です。
可能表現、あなたはどうしていますか?
さて、11月の鞍田朝夫「話し方教室」は6日と20日に開講
します。いずれも午前10時から12時まで富山県民会館の
608号室で開きます。6日が「三段階話法で話す」、20日
は「筋道を立てて話す」が学習テーマです。
関心のある方のご参加をお待ちしています。入会前の見学
を受けつけます。事前に☎076-431-3248にご連絡頂ければ
幸いです。
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