エッセイストの森下典子さんの「好日日記」を読みました。
樹木希林さんの遺作となった映画「日日是好日」の原作
エッセイの続編として、去年秋の映画の公開に合わせて
出版されました。森下さんが、50代の頃、お茶の稽古の
内容などをメモしていたノートがベースになっているとの
ことで、まえがきには、「これはお茶の稽古の記録だが、
季節のめぐりの記録でもある。」、とあります。たしかに、
茶花や茶菓子、掛軸、道具のことなど、茶道の奥深さが
お茶をやらない者にも頷ける説得力で説明されています。
が、それにもまして、お茶の稽古場を介して森下さんに
見えていた季節の移ろいが、二十四節気をなぞりながら
感性豊かに綴られています。穏やかで平易な表現ながら
心に沁みる描写の、推敲を尽くした言葉選びに魅了され
ました。また、40年以上の永きにわたってお茶の稽古を
続けてきた森下さんならではの人生訓の数々にも共感を
覚えました。とりわけ、習い事に励む人たちへの示唆とも
言える以下の境地に感動しました。
「習っているのは、技術ではなく、道を進むことだ。人は、
何も進んでいないようにみえる時でも、時間をかけて身に
付けたものだけは常に持っている。」「何十年やっても課題
は尽きず、稽古に終わりはない。このごろ思う。目指しても、
目指しても、終わりのない道を歩くことは、なんて楽しいの
だろう。いくつになっても正面から叱り、注意してくれる人が
いるということは、なんて幸せなのだろう。」
ひとつのことにひたすら精励恪勤した人だけが辿り着ける
感慨なのだろうと思います。けだし、至言だと思いました。
さて、3月の鞍田朝夫「話し方教室」は、3日と17日に開講
します。午前10時から富山県民会館608号室で開きます。
学習テーマは、3日が「起承転結で話す」、17日が「正しい
敬語で話す」です。関心のある方のご参加を歓迎します。
見学の希望を受け付けます。事前に、☎076-431-3248か
Eメールkurata2347@gmail.comへご連絡いただければ
幸いです。
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