2019年3月1日金曜日

「好日日記」を読んで

エッセイストの森下典子さんの「好日日記」を読みました。
樹木希林さんの遺作となった映画「日日是好日」の原作
エッセイの続編として、去年秋の映画の公開に合わせて
出版されました。森下さんが、50代の頃、お茶の稽古の
内容などをメモしていたノートがベースになっているとの
ことで、まえがきには、「これはお茶の稽古の記録だが、
季節のめぐりの記録でもある。」、とあります。たしかに、
茶花や茶菓子、掛軸、道具のことなど、茶道の奥深さが
お茶をやらない者にも頷ける説得力で説明されています。
が、それにもまして、お茶の稽古場を介して森下さんに
見えていた季節の移ろいが、二十四節気をなぞりながら
感性豊かに綴られています。穏やかで平易な表現ながら
心に沁みる描写の、推敲を尽くした言葉選びに魅了され
ました。また、40年以上の永きにわたってお茶の稽古を
続けてきた森下さんならではの人生訓の数々にも共感を
覚えました。とりわけ、習い事に励む人たちへの示唆とも
言える以下の境地に感動しました。
「習っているのは、技術ではなく、道を進むことだ。人は、
何も進んでいないようにみえる時でも、時間をかけて身に
付けたものだけは常に持っている。」「何十年やっても課題
は尽きず、稽古に終わりはない。このごろ思う。目指しても、
目指しても、終わりのない道を歩くことは、なんて楽しいの
だろう。いくつになっても正面から叱り、注意してくれる人が
いるということは、なんて幸せなのだろう。」
ひとつのことにひたすら精励恪勤した人だけが辿り着ける
感慨なのだろうと思います。けだし、至言だと思いました。
さて、3月の鞍田朝夫「話し方教室」は、3日と17日に開講
します。午前10時から富山県民会館608号室で開きます。
学習テーマは、3日が「起承転結で話す」、17日が「正しい
敬語で話す」です。関心のある方のご参加を歓迎します。
見学の希望を受け付けます。事前に、☎076-431-3248か
Eメールkurata2347@gmail.comへご連絡いただければ
幸いです。

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