2025年3月1日土曜日

球春に鍛える

3月です。先月キャンプインした日米のプロ野球は、選手やチームの練習が最終盤を迎えています。 これから各球団は、実戦さながらにオープン戦を重ねペナントレースに向けて新しいチーム作りの仕上げに入って行きます。 ▼キャンプとは、本来、軍隊などの集団が訓練のために一か所に集まることを言います。 プロ野球のキャンプはそれに倣ったもので、春季キャンプはシーズン本番に向けた準備期間として重要な意味を持っています。 また、若い選手にとってもその後の自らの野球人生を左右する大切な登竜門です。 ▼先日、元千葉ロッテマリーンズの捕手で野球解説者の里崎智也さんが、出演したNHKの「ラジオ深夜便」で若い選手に贈るエールとして 「死ぬほど練習しろ!”量より質”はないぞ!」と、檄にも似た含蓄に富んだ発言をしていました。 ▼曰く「自分の目標に到達するためには練習するしかない。トップアスリートやオリンピック選手で”量より質”と言っている人に会ったことがない。 トップの人は、10のことを1する。効率的に。そして、1を10個する。だから成し遂げられる。 ”量より質”と言っている人は、10のことを1しかしない。ただ楽をしたいだけだ。そんなんじゃ上手くなりませんよ!」と。 ▼里崎さんの発言は、練習量の重要性と練習の質と量の両立についての実感を伴った持論なのでしょう。 上達のためには大量の練習が不可欠であり、一流選手は質の練習を量をこなしてやっている。 真の上達には質の高い練習を大量に行なうことが必要だということを示唆しています。 ▼この発言は、スポーツに限らず、あらゆる分野での成功に通じる普遍的な真理だと思います。 蛇足ながら、野球の実況アナウンサーにとっても、春季キャンプの取材は様々な能力を鍛える絶好の機会です。 繰り返される選手の動きから的確に描写する技術を試し、選手やコーチへのインタビューを通じて情報を引き出す力を養う貴重な機会になっているのです。 ▼球春到来です。新しい春に目標に向かって質量充分に鍛えし選手たちに栄光あれ!!

2025年2月1日土曜日

音読でセラピー

2月です。先月中旬、元フジテレビのアナウンサー寺田理恵子さんの新刊「3分間の音読セラピー」が発売されました。音読シリーズの第4弾だそうです。 今回は、心理学の観点から太宰治や夏目漱石などの名作を音読することで心を整えることを目的に、単なる音読のススメとは一線を画す音読テキストになっています。 ▼文学によるセラピー効果について寺田さんは「本は人生の教科書。本の中に自分の心の問題を解くカギがあるのではないか。 文学作品は人間を学ぶ教科書。作品から人生を知り、人の心理を探ることができる。本を読むことは人間の心理を読むこと。掲載の音読作品は人間の”心”をテーマに選んだ。」と巻頭に書いています。 ▼セラピーとは、薬などを用いずに人が本来持っている力で治す療法を言います。 寺田さんは、家族を亡くし身も心もボロボロだった時に毎日の音読で体調を回復し思考もポジティブになったという自身の経験から音読にセラピー効果があることを実感し、 音読による心の癒し方や心の療法を伝えたいと思って書いたと、このたびの出版のいきさつをラジオで語っていました。 ▼寺田さんによれば、声を出すことで呼吸筋が鍛えられ呼吸が良くなる。腹式呼吸で自律神経の働きを良くしストレスの解消になる。声を出すことで声帯が鍛えられ声が良くなる。 口を動かすことで表情筋が鍛えられ表情が豊かになる。何より、文字を読んで音声に変換するという、インプットとアウトプットを同時に行うことで脳の働きが活発になり脳トレになる。 などなど、音読のセラピー効果は多岐にわたると言います。 ▼そういえば、今年の正月に大阪時代の先輩アナウンサーから貰った年賀状に「声で こころ と こころをつなげればー 今年も手をたずさえて・・・ 朗読ユニットを立ち上げて4年目、もう少し頑張ります」とありました。 音読でセラピーを目指して続けている活動なのでしょう。先輩ながら、なお意気軒高な姿勢に敬服するばかりです。

2025年1月1日水曜日

うまくなりたい!

新年です。今年こそはと、期する思いを胸に新しい年を迎えた人も多いことでしょう。 年末に放送されたテレビのNHKスペシャルで、圧巻の歴史的な好成績で昨シーズンを終えた米大リーグの大谷翔平選手が、 念願のワールドシリーズを制して今後の目標は?と問われ「うまくなりたい!シンプルにそこだけかな」と答えていました。 大谷選手らしい一言に納得と共感を覚えました。 ▼どこまでも貪欲に、そして謙虚に、”大谷翔平”とはそういう野球選手なのでしょう。 曰く「ワールドチャンピオンはチームのシーズンの目標。通過して行く1つのタイトル。野球人生を大きな括りで言えば、 一番の目標は、野球自体うまくなって自分が現役のうちにどれだけ納得できるものを残していけるかということ。《中略》 これまではいいペースで来ているが、100点満点ではないので、今後どうなって行くかを含めて楽しみにしたい」 ▼大谷選手の思考と価値観はこれまでの他の発言でも一貫しています。「無駄な試合や無駄な練習というのはない」 「悪い中にも必ず向上するヒントがある。どこまでうまくなれるか楽しみに頑張りたい」「足りない部分が見えてやることがたくさんあることは幸せ」などなど。 大谷選手にとって、改善の余地があることは喜ばしいことであり、それが彼のこれまでの成長と成功の源泉になっているのでしょう。 ▼自身の成長に対する姿勢と飽くなき向上心を端的に表わす大谷選手の言葉の数々は、私たちに、自己成長の喜びと挑戦を楽しむ姿勢の大切さ教えてくれます。 それは、単なるスポーツの世界だけでなく、私たちの日常生活や仕事でも有益な示唆となる貴重な洞察だと思います。 ▼話し方でも、「うまくなりたい!」という向上心はとても大切です。自身の不足を成長の機会として捉えること、現状に満足せず常に前進すること、 他者との比較ではなく自分自身との競争に焦点をあてること、挑戦を苦痛ではなく喜びとして捉えること、などなど、 新年にあたり心して反芻し肝に銘じたい姿勢だと思いました。