鞍田朝夫「話し方教室」では、受講生に「口の体操」に取り組んで
もらっています。声の出し方が話し方の基本だと考えるからです。
発声練習や各行の発音と滑舌練習を、毎回、教室の冒頭に全員
で行っています。
この「口の体操」に意義を見つけたという新入の受講生がいます。
曰く「フランスに留学していたことがあるが、フランス語は、主語に
よって動詞が様々に変化する。それを暗記しないとしゃべれない。
頭で覚えるのではなく体で覚えなくてはならない」と、フランス語の
習得に精出していた日々を振り返りつつ、「体で覚える」べき要諦
が日本語にもあるのを「口の体操」で再認識したというのです。
「体で覚える」と言えば、イチロー選手の深イイ話を思い出します。
去年8月、米大リーグ通算3000安打を達成した時、その軌跡を
振り返るTV番組でインタビューに答えていた意味深長な話です。
曰く「頭では打つことが難しいと判断する。でも体が、ひょっとしたら
打てるぞこの球は、と思ってしまう。よく選球眼というが、ストライク、
ボールを見分けること自体はそれほど難しいことではない。それを
打ちに行く体が要る。僕には、選球眼ではなく選球体が重要だ」と、
自らのバッティング技術を支える極意について説明していました。
選球体・・・それは、稀代の天才打者が「体で覚えた」独特の感覚
なのでしょう。
「体で覚える」とは、大辞林には、体験して身につける。体得する。
と語注されています。「体で覚える」ことは、何事につけ、努力した
者だけが実感できる成長の証なのかもしれません。故に、「体で
覚える」には、繰り返しの練習が不可欠です。継続的に練習する
断固たる決意が必要なのだろうと思います。
件の受講生は、世阿弥の「花伝書」にあるという金言を引用して、
「型に入って型から生きる、と説いている。時間がかかると思うが、
しっかり型に入りたい」と、決意と抱負を披瀝していました。
6月の鞍田朝夫「話し方教室」は、4日と18日の日曜日に開講し
ます。いずれも午前10時から富山県民会館608号室で開きます。
学習テーマは、4日が「絵を描くように話す」、18日が「話しかける
ように話す」です。入会前の見学を受付けます。☎076-431-3248へ
ご連絡いただければ幸いです。
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